台風や地震等の災害でテレビアンテナがえらいこっちゃ

2018年10月18日
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仕事

まさかのアンテナ不足

※この記事は2018年10月に書かれています。

災害により、TVアンテナが足りなくなるなんて事があったんです。

台風によりアンテナ破損

カテゴリー5のスーパーハリケーンと同一クラスとされる猛烈な強さの台風が日本列島を直撃し、観測史上稀にみる暴風により各地で被害をもたらした2018年9月の台風24号、その威力の影響は普段気にもしないような物へも被害を与えておりました

テレビ放送を受信する為に設置されているテレビアンテナへの被害です

テレビ放送は見ててもアンテナって気にかけませんよね

家の屋根や集合住宅の屋上等に設置されている事の多い屋外設置のテレビアンテナ

普段から雨風にさらされているこのテレビアンテナも、猛烈な強さと勢いを持った台風の前では例外ではなかったようです

建物に被害はなかったとしても屋外に設置されていたテレビアンテナが、風により破損したり方向が変わってしまったりして、台風が去った後からテレビ放送が受信出来なくなったといった事例が各地で多発していたんです

日本の気象庁では三階級で表現される台風の強さ

強い(≒32m/s以上)

非常に強い(≒43m/s以上)

猛烈な(≒54m/s以上)

()内はいずれも風速

【出典】JAXAヨリ

木々をなぎ倒し建物を倒壊させるほどの破壊力を持った風を伴う猛烈な台風が数度も日本列島を直撃した今年、台風が去った今でも様々な復旧作業がおこなわれていますが、テレビアンテナの破損により被害を被った方々も復旧作業を必要としておられます

問い合わせがすごい事に

ウチは工事会社なのでデベロッパーや建築等の業者相手の業務が通常なのですが、街の電器屋さんが近所から姿を消した昨今、お困りの人から工事の依頼や問い合わせ等もある為、フリーダイヤルやメールボックスなどを開設しているんですけど、通常、一般の方からは月に十数件あるかないかの問い合わせが3日ぐらいですでに10件を超えている状況になる

台風24号が過ぎ去った翌日ぐらいから会社のフリーダイヤルやメールの問い合わせには、アンテナ工事の問い合わせが多数入ってきていたのです

いずれも強風によりアンテナが倒れたり曲がったりして、テレビ放送が受信出来なくなってしまったとの事

テレビが映らない状態が続いているのですから、テレビ放送を見たい人にしてみたらお困りのことでしょう

ちなみにウチの会社のテレビアンテナも強風により倒れていたのですが、ほとんど視聴しない為、隣のテナントビルオーナーさんから指摘されなければ、倒れていたのを気づきもしなかったのです

落下していたら危ない所、それほど身近でも強い風が吹いていたのが今回の台風でした

設計風速超える

今回の台風24号は史上稀にみるほどの風速だった風の強い台風

都心でも風速は36m/s以上を記録し、風の強い所では風速40m/sから56m/sを超える風速を記録した場所もあるという

現在のアンテナ製品では風速50m/sでも耐えられる設計の製品も出ておりますが、通常のアンテナ製品では風速40m/sぐらいまでの想定設計です

老朽化や設置のされ方、状況や状態によっては設計風速以下であっても破損してしまう場合もあるので強風だった今回の台風24号ではアンテナ被害がより増えたのでしょう

事実、強風の強さを物語る様に、後日行った工事先では、人力で曲げようとしたってなかなか曲がらないステレンスの支柱でさえもグニャリと曲がってしまったアンテナが何件もありました

ウチの家でもアンテナの受信方向にマンションがあり、受信状態が良くなかったので長めのマストを立てて受信していましたが、十数年前の台風の時に屋根の上でアンテナが倒れて見れなくなりました

長めに立てられたアンテナは、より風に弱いです

再び倒れても面倒くさいので以来、ケーブルテレビに切り替えてしまいましたが、しばらくテレビの映像にはノイズが入ってしまい映りが悪くなってしまったのを覚えています

今のテレビ放送はデジタル化されてしまったので受信レベルによる映像の見栄えに差はありませんが、受信状態が悪ければ映りが悪くなるとかではなく映らなくなってしまいます

既定値以下の受信レベルになってしまうと映像は画面に表示される事もなくなり、一切視聴する事が出来なくなってしまうので音声すらも聞けません

全国的にアンテナ不足

映像も音声も流れず故障した訳でもないのに置物状態となってしまったテレビ、工事会社であるウチに問い合わせが増えた理由もわかります

…が、そういった工事を主体にしている訳ではないのでアンテナの在庫など抱えてはおりません

工事の日程調整をする為に材料屋にアンテナの発注をかけてみれば、まさかのご返答

材料屋でも、在庫限りでアンテナが無いという

主なアンテナを発売しているメーカーに、八木、マスプロ、DX等ありますが、そのいずれのメーカーでも生産が間に合っていないのだという

台風24号だけでなく、その前に西日本に上陸して被害をもたらした台風21号や直近で発生していた地震などの災害によりアンテナ破損の事例が多発し需要が増えた為に、全国的にアンテナが品薄になってしまっているんだとか…

アンテナが在庫切れで入荷されないなんて初めて聞かされました

残念ながら折れたり破損したりしたアンテナは現地での修理対応ができませんので交換が1番安価で早い手段なのですが、物がなければどうにもならないのが、我々、工事業者

風に煽られて向きが変わってしまったぐらいなら方向調整で受信可能となる事もありますが、破損したのでは交換か新規取付けしか手段がないのです

ご依頼のあった方々は子供のいる家庭やお年寄り宅など、テレビ放送を楽しみにしている方たちでしたので何とも気の毒ですがアンテナが入荷されない事には工事を行えません

しかも入荷のメドすらつかず

日が経っても賃貸物件の管理会社や大家からも依頼が追加されるほど問い合わせはなくなりません

数十件の依頼とはいえ通常業務に支障をきたすほどになってしまいました

街の電器屋さんがなくなった地域ではウチの様な工事業者に依頼でもしなくては解決しないのも残念です

アンテナ工事等は依頼でもない限り工事を行う事はありませんので、在庫を抱えない当社では、ご依頼があっても物が無いので至急対応できません

気の毒ですがウチではテレビアンテナの入荷待ち扱い

平面アンテナはまだ入手しやすい

一般に普及しているアンテナは八木式アンテナと呼ばれる魚の骨の様な形をしたアンテナです

地デジ化される前からUHF局を受信する為に設置されていたアンテナでもあり、UHF帯域を使う地デジ放送に切り替わってからでも発信局方向に向きを変えれば現在でも使えるアンテナ

そのアンテナが不足しているのですが、最近の住宅向けアンテナでは屋根への負担軽減や外観上の見栄えからデザイン重視の平面アンテナというタイプのアンテナも各社から発売されております

それらの平面アンテナは八木式アンテナよりも入荷されやすい状況らしく発注すれば入荷されてきますし納期回答も頂けます

ただ平面アンテナでは電波強度の低い地域や設置の状況によっては受信レベルが取れず、八木式アンテナに比べると万能で使えるとは言いきれないのが実情

住宅事情によっては厳しい場所もありますが、対応出来るエリアでは十分アンテナとして立派に機能致します

アンテナの復旧を望んでいる人にしてみたら、いつ入荷されて直るかわからないよりも何でもいいから映るようにしてほしいって言うのが気持ちでしょう

ご依頼の方々に連絡してみても、やはり平面アンテナでの工事を希望される方がほとんどでした

コチラはDX製の平面アンテナです

中身はこんな感じで入っています

この平面アンテナでも受信できれば工事可能です

アンテナ工事は屋根次第

アンテナが設置されている住宅では、ほとんどの家が屋根の上

日本の住宅の屋根は様々です

屋根の造りだけでも、切妻(きりづま)・寄棟(よせむね)・方形(ほうぎょう)・差し掛け(招き)等々、それ以外にもいろいろな形の屋根があり、屋根の勾配も住宅によって急な勾配や緩やかな勾配な屋根まで、その組み合せはホントに様々

屋根の材質にしても、ガルバリウムやトタン等の金属系、カラーベストやコロニアル等のスレート系、洋風の家などにみられるコンクリート瓦や昔からの日本瓦まで屋根に使用される材質だって色々とあるのです

陸屋根(りくやね)と呼ばれる屋根でもない限り、どこにも水平で平らな所がないのが屋根の上

瓦なんぞは割れる恐れもありますしスレート系では滑りやすいなど屋根材によっては移動もしづらく、勾配のキツイ屋根に至っては下手すればそのまま滑り台の様に下まで加速して落下してしまいます

そんな屋根上でアンテナを撤去するのも手間なんです

今回の様に風でやられてしまったアンテナは、曲がってバランスが悪くなっていたり既に倒れている状態だったりして尚更厄介なんです

おまけにVHFの水平方向に長いアンテナとかUHFのアンテナがダブルで取り付いていたり、パラボラアンテナも付属するなんていうのも当たり前で、それを屋根上から落とさず屋根も傷つけずに下まで下ろさなくてはならないですから設置するよりも撤去の方がリスク高め

ハシゴなんかじゃ危なくて作業できない時は高所作業車(バケット車)を使用しますが、バケット部が回り込まず足場でもなければ屋根上での作業が無理な屋根もあるんです

屋根によってはホントに危険ですから上った事のない人が屋根上で設置作業をするのはおすすめしませんし、より危険な撤去作業は屋根上でアンテナが危ない状態になっていても業者に依頼しましょう

アンテナ工事へと

ある1日、自分の現場の予定を空けて、バケット車を持ち出し5件ほど件の平面アンテナを使ってアンテナ復旧工事をおこないました

平面アンテナ工事を希望の方々のほとんどが壁面で受信出来るなら、壁面に設置替えをしても構わないとの事なので作業が楽なバケット車です

屋上になっているから工事もやりやすかった3階建てのアパートの例です

これはALC造3階建て建物の3階壁面部分についていたアンテナ跡

既にアンテナを撤去した後の写真ですが、3ヶ所留められていた壁面支持材のうち下2つが風に煽られて取れてしまい、かろうじて上のひとつの支持材がマストを支えていた為に落下せずにすんでいた状態でした

ちょっとわかりづらいですが、ガボっとえぐり取られて、内壁の軽量の間柱まで見えてしまっている、ALCの外壁部分です

風ってすごいパワー

information

ALC

ALCとは軽量気泡コンクリートの事です。旭化成のヘーベル等もALCになります。外壁としては100mm以上200mm以下の厚さをした厚形パネルが使用されます

地デジ化される前に設置されたであろう共同アンテナ、受信レベルを少しでも高めるべく、3mちょっとのステンレス製の太い支柱に直径1mぐらいの大きなBSアンテナや素子の多い電障用のゴツいUとVのアンテナが取り付けられていた為、かなりの重量物であった物が風にヤラれて危ない状態でした

設置場所は屋上付近の建物の壁面

落下していたら一大事だったかも知れません

バケットを伸ばしアンテナを撤去した後、壁面を補修して撤去作業は終了

アンテナは大家さんの要望により、屋上設置です

階段で屋上に出れますから後は楽

ただ、屋上は防水されていてベースをアンカー打ちにて固定出来ない為、フェンスに取付けました

集合住宅の場合、全世帯がテレビを見れない状況になっているので気の毒ですよね

30世帯あれば30世帯共に受信が出来ない状態、つまりテレビが映らないですから

今までのアンテナに比べたら、おもちゃにさえ見えてしまう平面アンテナでも、電波を受信さえできれば問題は無いですから、後は設置先での電波の受信状態がどれだけ良いかだけ

地デジ用平面アンテナとBS/CSアンテナを用意して、電波状態を測定して1番受信感度の良い位置へ取付けします

住民の方達も映ってくれる事を望んでますので受信してくれるといいです

平面アンテナ設置

電波方向に向けてアンテナを取り付け

平面アンテナはパラボラアンテナと違い仰角の調整はありません。左右の向きだけでの調整です

アンテナ工事で欠かせないのが受信レベル等を測定する、レベルチェッカーという測定器です

デシベルとか、レベルとか、チェッカーなど呼び方は人それぞれな測定器です

アンテナ設置でのポイントは測定時にアンテナ受信オッケーの印であるアンテナマークが出ている事と、BERの値とC/N比の測定値になります

BERの値やC/N比の測定値が基準を満たしていると、だいたいアンテナマークが出てくれます

(上の画像では液晶内、右上付近のアンテナマーク)

information

BER

ビットエラーレート(Bit Error Rate)の事

データがどれくらい正確に受信出来ているかの受信品質を判断する値。

E-1からE-7までの数値により、エラー回数を表示。0.00を表示で、エラー無しの状態となる

【EX】E-4表示された時の場合では、1万回に1回のエラーが発生する受信状態です

テレビの映像上ではドロップノイズ等を起こしたりして、安定した画像を表示出来ない状態に陥ります

 

information

C/N比

信号成分と雑音成分との量の比率(carrier to noise ratio)の事

信号品質の指標となるもので、雑音量の比率が高いとC/N比の値は低くなる。

C/N比の値が高いほど信号品質は良いとされ、26db(デシベル)以上で良好扱いになる。

 

アンテナ直下の受信レベルは46.8db(デシベル)と値としては低いですが、この位置がBERの値もC/N値もレベルも取れる1番最適なポイントです

ブースターも設置されていますから入力が低くても何とかなるかと

パラボラアンテナ設置

南南西の方向に向けろと言われるBS/CS110度アンテナは平面アンテナ方向とは真逆の位置への取付けになりました

取付場所によっては角度調整がシビアなアンテナです

ビスを締めている間に、ちょっと動いただけでレベルが拾えなくなってしまう事もあるんです

ですがパラボラアンテナの受信感度は良好の様で、大体の方向に向けただけで直下の受信レベルは76dbと拾えてます

ほぼ、微調整ですみました

後は、設置したアンテナからの配線を既存のアンテナ線に接続してあげればほぼ終了

分配器などが設置されている端子盤のレベルと調整、宅内レベルを測定し最後に実際のテレビで映像を確認してもらえば完了です

いずれも問題なし

この日工事のお宅は全て平面アンテナでも受信が復旧できました

子供が在宅していたご家庭では、一様に子供が喜んでいましたので平面アンテナが役に立って良かったです

全ての物件で壁面受信が可能でしたので平面アンテナはいずれも壁面に設置致しました

屋根の上で壊れたアンテナは全て無事に撤去して屋根の上もスッキリです

もう、倒れる心配も屋根が痛む心配もありません

受信さえ可能なら平面アンテナの方が施工的にもお客さん的にもメリットがあります

最後に、ご注意です

アンテナ工事を専門に行っている業者ならアンテナの在庫を抱えていたり、ルートが出来ているので入手も早いかもしれません

便乗した詐欺事案もある様ですので、ご注意下さい

強風等でアンテナがダメになってしまった場合には火災保険が適用される場合がありますので、保険の保証内容を確認されるか保険会社に相談してみて下さい

工事業者に保険適用にて工事依頼をされる場合は写真や撤去したアンテナ等が必要になる場合もあります

工事依頼の場合は、その旨を伝えてから工事されないと、後日、保険の適用を受けれなかったりしてトラブルになる場合もございますからご注意下さい

保険適用にて工事される方は保険会社と相談の上、トラブルのないように話し合って下さい

自費で工事される方も、工事業者によっては工事の施工方法もまちまちだったりしますので、施工前によく打ち合わせされた方が適切かと思います

電話帳やインターネットで工事業者を検索されるのもアリですが、不安な様なら自宅に関わった不動産屋や工務店さんに連絡してみるのもひとつの方法かと思います

 

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Posted by 先ずはビールをお願いします。

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